遺産相続の手続きについて
遺産相続の手続きには、期限が定められているものがあります。
●相続放棄と限定承認(3か月以内)
相続放棄と限定承認は、どちらも負債の相続を防ぐ手続きです。
相続放棄とは、相続人に該当する人物が全ての遺産を相続しないことです。
預貯金や不動産といったプラスの財産も、
借金などのマイナスの財産も含めた遺産を相続しません。
限定承認とは、プラスの財産からマイナスの財産を差し引き、
残りがプラスになった場合に相続をすることです。
遺産の総額がマイナスになる場合は相続しません。
これらの手続きには熟慮期間が設けられていて、
「相続を知った時から3か月以内」となっています。
●準確定申告(4か月以内)
準確定申告とは、被相続者に確定申告が必要だった場合、
相続人が代わりに手続きを行うことです。
「相続開始後4か月以内」が期限となります。
期限を過ぎた場合、延滞税や無申告加算税が発生します。
●相続税申告(10か月以内)
遺産の総額が基礎控除額を超える場合、相続税が発生します。
基礎控除額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
「相続開始後10か月以内」が期限で、
期限内の申告がなければ延滞税や無申告加算税が発生します。
●遺留分侵害額請求(1年以内)
遺留分とは、特定の相続人に最低限保証される遺産の割合のことです。
特定の相続人には、被相続人の配偶者、子、両親が該当します。
遺言や生前分与の結果、分割された遺産が遺留分を下回る場合に請求することができます。
「相続を知った時から1年以内」が期限ですが、
「相続開始後10年」を超えると請求できなくなることに注意です。
期限内に手続きを行わなければ、不利益を被る可能性があります。
ただし、特別な事情があれば、
期限の延長や期限を超えてからの手続きが認められるケースもあります。
不明な点は専門家に相談するといいでしょう。
遺産相続の手続きの依頼先によって、かかる費用は違います。
傾向として、銀行などは高めで司法書士や行政書士だと比較的安く抑えられる、
というのはあります。
遺産相続の手続きは、銀行・信託銀行・司法書士・行政書士などに依頼出来ます。
銀行や信託銀行は信頼度が高いですが、
その分費用は高めで、例えば相続財産額が5,000万円医科で報酬額は財産額の2.2%、
1億円超~2億円以下だと1.1%、10億円超えだと0.33%と
いったような両立になっています。
もちろん銀行によって違います。
また、最低報酬額を100万円としていると、
相続財産が3,000万円でも報酬は100万円になるので注意が必要です。
司法書士だと、これも一例ですが、
500万円以下は報酬額は27.5万円、
5,000万円から1億円以下だと財産額の1.1%+31.9万円、
3億円超えだと財産額の0.44%+163.9万円
といったところです。
これも依頼する司法書士によって違います。
行政書士も費用設定はそれぞれ異なりますが、
安価なところだと1,000万円以下で報酬額は15万円(税抜き)、
8,000万円から1億円以下で40万円、
1億円超えだと財産の種類や煩雑さ、相続人の数で違ってきます。
不動産の相続登記だけだと、料金は10万円ぐらいでこれには司法書士の報酬も含まれています。
また相続税の申告があると報酬額にさらに追加料金がかかり、
相続人の人数や不動産などの数によって相談して見積もりを出してもらう必要があります。
他にも、税理士などの専門家に依頼すればその分の費用、
不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書などの実費も別にかかります。
銀行での遺産相続 手続きに必要なものとしては、
まず、被相続人(亡くなられた方)の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本と除籍謄本、
また、死亡診断書が必要となります。
それが必要な理由としては、相続手続きをされる方が相続人であるかどうかを
銀行は、まず初めに確認する必要があるからです。
そして、次の確認事項としては、被相続人の遺言書があるかどうかの確認が必要となります。
被相続人の遺言書がなければ、
法定相続人全員で、被相続人の遺産分割を行う必要があるため、
遺産分割協議書を作成するかどうかが次に決めるべき事項となります。
もし、遺産分割協議書を作らないのであれば、
銀行所定の相続手続書類に誰が何を相続するかを、
法定相続人全員で署名押印して決める必要があります。
その手続き書類と共に、印鑑証明書を提出して、手続きを行えば、
たいていの銀行で、相続手続きは問題なく完了できます。